【東大受験生必見!】東大数学の体積問題の解き方 ~LESSON3~
LESSON3:最近点,最遠点を押さえろ
LESSON3は「最近点,最遠点を押さえろ」です。
このLESSON3は回転体の体積を求めるときに大活躍します。
LESSON2「切って動かせ」で,まず平面で切ったのはいいものの,その後回転させたらどうなるかイメージしづらい場合があります。
そんなときにこのLESSON3を使うことで,平面上でどのような切り口になるのか分かります。
LESSON3はここで解説していても,伝わりづらいと思うので早速問題に入っていきましょう。
問題を解こう!
それでは問題です。
例題:オリジナル問題
まずはLESSON2「切って動かせ」です。平面\(x=t,y=t,z=t\)のどれかで切りましょう。
どの平面で切るのかが大事ですが,この問題では円板\(D\)を\(z\)軸中心に回転させています。
後の「動かせ」の部分で\(z\)軸中心に回転させることを考えると,平面\(z=t\)で切ったほうが考えやすいので,平面\(z=t\)で切っていきます。
このとき\(V\)の切り口が存在するためには,そもそも円板\(D\)の切り口が存在しなければならないので\(-1\leqq t\leqq 1\)であることも押さえておきましょう。
円板\(D\)の方程式は
なので,\(z=t\)で切ると
となります。
これをグラフが書きやすいように整理すると
となりますね(\(t\)が定数であることに注意しましょう)。
よって,平面\(z=t\)による切り口は
となります。
ここからLESSON2の「動かせ」の部分に入って行くので,この図形を\(z\)軸中心に回転させていきます。
しかし慣れていない人は回転後の図形がイメージしづらいと思います。
そこでLESSON3「最近点,最遠点を押さえろ」です。
「最近点」,「最遠点」はそれぞれ回転の中心軸から最も近いところ,遠いところのことを指します。
今回の問題では\(z\)軸から最も近い場所,遠い場所となりますね。
切り口上では\(z\)軸が原点に対応することに注目しましょう。
グラフ
で,最も近い場所は点\(A\),遠い場所は点\(B,B’\)となりますね。
この最近点,最遠点の行方を追うだけで回転後の図形はほとんどわかってしまいます。
まずは点\(A\)について,点\(A\)と\(z\)軸との距離は\(1\)ですから,回転させると切り口上で原点中心半径\(1\)の円を描きます。
次に点\(B,B’\)についてです。
点\(B,B’\)と\(z\)軸との距離は\(\sqrt{\sqrt{(1-t^2)}^2+1^2}=\sqrt{2-t^2}\)ですので,回転させるとどちらも半径\(\sqrt{2-t^{2}}\)の円を描きますね。
これらのグラフを重ね合わせて,内部を塗りつぶしたグラフが\(V\)の切り口になります。
\(V\)の切り口
点\(A,B,B’\)以外の点を回転させると,上のグラフの中に含まれてしまうということを実際に確認してみてください。
よって切り口が分かり,断面積は\(\pi(1-t^{2})\)で,これを\(-1\leqq t \leqq 1\)で積分してしまえば解答終了です。
したがって答えは\(\dfrac{4}{3}\pi\)となります。
解答をまとめると次の解説PDFのようになります。
このようにLESSON3「最近点,最遠点を押さえろ」を実行することで,回転図形の切り口を簡単に把握することができます。
これがLESSON3の威力です。
その他の例
LESSON3を使って解けるその他の問題を解いて,LESSON3を身に付けていきましょう。
講座2で「その他の例」に問題を多く載せられなかった分,たくさん載せますね。
個人的な難易度順で簡単な方から挙げていくと,東大の問題では2010年度理系問1,2008年度理系問3,2017年度理系問6,2016年度問6,2022年度問5などです。
個人的には2008年度の問題が好きです。
また2017年度理系問6に関しては,おまけの講座(現在製作中)を見てからにしたほうがいいかもしれません。
また他の大学では,京大2020年度理系問6,阪大2013年度理系問4もオススメです。
特に京大理系2020年度問6は標準的な難易度なので,これができるとLESSON3をマスターした自信を持ってよいでしょう。
まとめ
ここまでの講座で習ったLESSON1から3をマスターしておけば,東大数学の体積問題はほとんど解けるようになっています。
もし仮に解けない問題に出くわしたなら,それは体積問題の基礎ではなく,軌跡や積分といった別の分野の基礎が出来ていない可能性が高いです(特に軌跡)。
LESSONの解説はこの講座で終わりですが,体積問題で知っておくと便利な知識をおまけの講座にまとめています。
興味があったらぜひ読んでみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。