【東大受験生必見!】東大数学の体積問題の解き方 ~LESSON1~
こんにちは!半沢です!
東大数学では,よく積分を使って体積を求める問題が出題されます。
「最初に何をすればいいのか分からない」「図形的イメージができないから解けない」と感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで,この記事では解答の方針の流れや,図形的なイメージが苦手な人でも東大数学の体積問題が解けるようになる3つのLESSONと1つのおまけについて解説していきたいと思います。
各講座で1つずつLESSONを紹介していきます。
東大数学の体積問題を得点源にできるように一緒に頑張りましょう。
LESSON1:平面で切れ
LESSON1は「平面で切れ」です。
体積問題を難しいと考える人の多くは,3次元の図形をそのまま3次元でイメージしてしようとしてしまいます。
しかし「平面で切る」ことで,イメージしづらい3次元の図形を2次元に落とし込むことができます。
2次元にさえ落とし込めば,グラフを書くことができます。
3次元でイメージすることは,簡単な図形じゃない限り難しいので,平面で切って2次元で考えるように心がけましょう。
では答案上でどのように「平面で切る」のかを次の例題で一緒に確認していきましょう。
問題を解こう!
実際に問題を解いて,LESSON1:「平面で切れ」を身に付けていきましょう
例題:オリジナル問題
上の問題を解いていきましょう。
実際,立体\(K\)を図示してみると下の図のようになりますが,このイメージを式だけ見て想像するのは難しいです。
そこでLESSON1「平面で切れ」で2次元に落とし込んでいきます。
「平面で切る」とは平面\(x=t,y=t,z=t\)のうちの,どれかの平面上の切り口を考えることを言います。
ここでの\(t\)は\(x\)や\(y\)などの変数ではなく,\(0\)や\(1\)などの固定された定数のイメージを持ちましょう。
今回は平面\(x=t\)で切っていきます(理由は次の節で解説します)。
そうすると問題の2つの方程式は
となりますね。
この2つの方程式に囲まれた部分が平面\(x=t\)で立体\(K\)を切ったときの切り口になります。
今\(t\)を定数としてみているので,これを\(z\)と\(y\)の関係式と思って,グラフが書きやすいように整理してみましょう。
すると
となりますね。
\(yz\)平面で考えると,上の式は頂点が\((t,t^{2}-1)\)の放物線,下の式は\(y\)軸を表していることが分かりますね。
実際にこれらの方程式によるグラフを描くと,\(t\)の値によって次のようなグラフが得られます。
このグラフを見て分かるように,3次元の立体の切り口を考えることで2次元上で考えられるのが平面で切る最大のメリットです。
しかし,2つの方程式で囲まれた部分が立体Kの切り口に対応するのに,左の写真のように\(t\)の値によってはそもそも囲まれる部分が存在しない場合があるのが分かりますね。
2つのグラフを見比べてみると,囲まれた部分が存在するための条件は,放物線\(z=(y-t)^{2}+t^{2}-1\)の頂点が直線\(z=0\)の下側に位置することだと分かりますね。
つまり\(K\)の切り口が存在する範囲は
であることが分かります。
後はこの範囲における\(K\)の断面積\(S(t)\)を求めて,\(-1\leqq t\leqq 1\)で積分すると答えが求まりますね。
断面積は放物線と直線で囲まれた部分ですから,積分で簡単に求まりますね。
今回はLESSON1を押さえることが重要なので,残りの解答はこの解答PDFに書いておきます。
ちなみに答えは\(\dfrac{\pi}{2}\)となります。
ここまでの解答を見てわかるように,3次元での立体Kのイメージが湧かなくても,問題が解けてしまうことが分かります。
それはなぜかと言いますと,繰り返しますが「平面で切る」ことで2次元上で考えられるようになったからですね。
どの平面で切るのか?
そういえば,なぜ平面\(x=t\)で切ったのか説明していませんでしたね。
これは平面\(x=t\)で切った時のグラフが一番描きやすかったからです。
試しに\(z=t\)で切ってみると,この平面上でのグラフは下の図のようになります。
このグラフを高校数学の範囲で書くのは厳しいですね。
\(y=t\)に関しては
となり,描けないこともなく,実際に\(y=t\)で切っても解くことができます。
しかし\(x=t\)のときと比べて,与式をグラフの描きやすい形に整理するときなどで,手間がかかります。
どの平面で切るかは,必ずしもそうとは限りませんが,式の中で最も複雑そうな文字の平面で考えると良いです。
今回の
では,\(x\)は式の中で2次で最高次かつ再頻出なので,平面\(x=t\)で切るというわけです。
ただし注意したように必ずうまくいくとは限りません。
そのため仮に\(x=t\)で切ってダメなら,次は\(y=t\)か\(z=t\)で切るというように試行錯誤の精神を忘れないようにしましょう。
実践:東大2005年度理系問6
それではLESSON1を使って,実際に下の東大の問題を解いてみましょう。
この問題は難しめです。
そしてこの講座もまだ1回目なので,完答はできなくても大丈夫です。
この時点ではLESSON1:「平面で切れ」を実行した後,断面積の式と積分範囲を求めるところまでを目標にしましょう。
解答ができた方から,下の解説PDFを見て答えを確認していってください。
その他の例
このほかにもLESSON1を押さえていることで解ける問題は,積分計算が大変ですが名大2019年度理系問1,東大2003年度理系問3などが挙げられます。
まだLESSON1なので解ける問題が少ないですが,LESSON1は基礎なのでこれらの問題を解いて身に付けておきましょう。
まとめ
平面で切ることで2次元のグラフに落とし込めるという,LESSON1の便利さを理解していただけたでしょうか?
この講座はあと2回(おまけも含めると3回)続くので,良かったら次の講座(ここから飛べます)も見ていただけると幸いです。
ここまで読んでいただき,ありがとうございました。