【解析学】リーマンゼータ関数の整数における特殊値は? 証明も含めて解説

2025.04/03

こんにちは!半沢です!

今回の記事では解析学における

リーマンゼータ関数の整数における特殊値(particular values of the Riemann zeta function at integers)

について解説します。

正の偶数においては,例えば

\(\zeta(2)=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^2}=\dfrac{\pi^2}{6}\)

となり,平方数の逆数和に円周率\(\,\pi\,\)が出現して,かなり興味深いです。

正の奇数や,リーマンゼータ関数の自明な零点と関係する\(\,0\,\)以下の整数についても解説しています。

ぜひ読んでいってください。

リーマンゼータ関数の整数における特殊値(particular values of the Riemann zeta function at integers)

正の偶数

正の偶数におけるリーマンゼータ関数の値

リーマンゼータ関数\(\,\zeta(s)\,\)について,\(\,k\,\)を正の整数とすると

\(\zeta(2k)=\dfrac{(-1)^{k-1}(2\pi)^{2k}B_{2k}}{2(2k)!}\)
ただし\(\,B_{2k}\,\)はベルヌーイ数である。

※文献によっては上式と一致しないような表式のときもありますが,それはベルヌーイ数の定義の揺れによるものです。

上式より,例えば

\(\zeta(2)=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^2}=\dfrac{\pi^2}{6}\)

\(\zeta(4)=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^4}=\dfrac{\pi^2}{90}\)

という値が得られます。

上式では\(\,(-1)^{k-1}\,\)の項が出現しますが,ベルヌーイ数\(\,B_{2k}\,\)の符号で相殺され,全体として正になることに注意してください。

そもそも明らかに\(\,\zeta(2k)\gt 0\,\)ですもんね。

次節ではこの等式の\(\,\cot\,\)の部分分数分解から証明しましょう。

証明: 正の偶数

それでは証明です。

まず\(\,\cot\,\)の部分分数分解(解説記事1.ヘルグロッツの技法2.留数定理による証明)から

\(\pi \cot\pi z =\dfrac{1}{z}+\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\biggl(\dfrac{1}{z+n}+\dfrac{1}{z-n}\biggr)\qquad(z\in \mathbb{C}\setminus \mathbb{Z})\)

でした。

両辺に\(\,z\,\)を掛けて,\(\,|z|\lt 1\,\)において下のように式変形を行います。

\(|z|\lt 1\,\)という条件は各正の整数\(\,n\,\)に対して
等比級数\(\,\displaystyle \sum_{k=1}^{\infty} \biggl(\dfrac{z}{n}\biggr)^{2k}\,\)の収束条件\(\,|z|\lt n\,\)のために必要です。

また式変形の途中で和の順序変更をしていますが,

\(\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}\sum_{k=1}^{\infty} \biggl|\dfrac{z}{n}\biggr|^{2k}\,\)の収束がその式変形自身から保証されていることから,順序交換も大丈夫なことが言えます。

つまり

\(\displaystyle \pi \cot\pi z =\,1+\sum_{k=1}^{\infty}[-2\zeta(2k)]z^{2k}\quad (|z|\lt 1)\)

という\(\,z\,\)のべき級数展開が得られました。

また\(\,\pi\cot\pi z\,\)は次のようにも式変形できます。

ここでベルヌーイ数\(\,B_k\,\)の定義は

\(\displaystyle \dfrac{ze^z}{e^z-1}=\sum_{k=0}^{\infty}B_k\dfrac{z^k}{k!}\quad (|z|\lt 2\pi )\)

でした。

この定義式において\(\,z\to 2\pi z i\,\)としたものを利用して,式変形を続けると

つまり

\(\displaystyle \pi \cot\pi z =-\pi z i+\sum_{k=0}^{\infty}\dfrac{i^k (2\pi)^k B_k}{k!}z^k\quad (|z|\lt 1)\)

という\(\,z\,\)のべき級数展開も得られました。

したがって\(\,2\,\)つのべき級数展開の\(\,z\,\)偶数乗の係数を比較することで

\(\zeta(2k)=\dfrac{(-1)^{k-1}(2\pi)^{2k}B_{2k}}{2(2k)!}\)

が得られ証明終了です。\(\quad\square\)

※今回は\(\,\cot\,\)の部分分数分解から証明しましたが,ベルヌーイ多項式のフーリエ級数展開から証明することも可能です。暇があれば別記事で書きたいと思います。

正の奇数

リーマンゼータ関数の正の奇数については正の偶数の場合と異なり,具体的な表示は未だ発見されていません。

ただしリーマンゼータ関数の解析接続から\(\,\zeta(s)\,\)は\(\,s=1\,\)において発散し,\(\,1\,\)位の極で,その留数は\(\,1\,\)であることが知られています。

\(3\,\)以上の奇数\(\,2k+1\,\)における値\(\,\zeta(2k+1)\,\)は未だ未解明で,

数少ない判明していることとしては

  • \(\,\zeta(3)\,\)は無理数である(アペリーの定理)
  • \(\,\zeta(2k+1)\,\)の中に無理数であるものが無限個ある
  • \(\,\zeta(5),\, \zeta(7),\, \zeta(9),\, \zeta(11)\,\)の少なくとも一つは無理数である

ことなどです。

正の奇数でのゼータ関数の値は謎が多いので,解明に挑戦してみるのも一興でしょう。

\(\,0\,\)以下の整数

\(0\,\)以下の整数におけるリーマンゼータ関数の値

リーマンゼータ関数\(\,\zeta(s)\,\)について,\(\,k\,\)を\(\,0\,\)以上の整数とすると

\(\zeta(-k)=-\dfrac{B_{k+1}}{k+1}\)

\(3\,\)以上の奇数についてはベルヌーイ数は\(\,0\,\)なので,負の偶数\(\,-2k\,\)について

\(\zeta(-2k)=0\)

であることが分かります。

そのため負の偶数\(\,-2k\,\)をリーマンゼータ関数の自明な零点と呼びます。

負の偶数以外の値は以下のようになります。

\(\zeta(0)=-\dfrac{1}{2}\)

\(\zeta(-1)=-\dfrac{1}{12}\)

\(\zeta(-3)=\dfrac{1}{120}\)

次節ではその証明を確認しましょう。

証明: \(0\,\)以下の整数

それでは証明です。\(\,k\,\)を\(\,0\,\)以上の整数とします。

リーマンゼータ関数\(\,\zeta(s)\,\)は\(\,\operatorname{Re}s\gt -(k+1)\,\)において解析接続され,下の式の表示で表されます。

\(\displaystyle \zeta(s)=\dfrac{1}{s-1}+\dfrac{1}{2}+\sum_{m=1}^{k+1}\dfrac{B_{m+1}}{(m+1)!}\cdot (s)_m – \dfrac{(s)_{(k+2)}}{(k+2)!}\int_{1}^{\infty}B_{k+2}(x-\lfloor x\rfloor )x^{-s-(k+2)}dx\)

ただし\(\,B_{k+2}(x)\,\)は\(\,(k+2)\,\)次のベルヌーイ多項式で,

\((s)_m\,\,(1\leq m\leq k+2)\,\)は

\(s_{m} \coloneqq \underbrace{s(s+1)\cdots(s+m-1)}_{m項}\)

で定義される略記です。

※この関数表示はかなり非自明ですが認めてください。
暇があれば別記事でしっかり証明したいと思います。

よってこの式で\(\,s=-k\,\)とおくと,\(\,(-k)_{k+1},(-k)_{k+2}=0\,\)であることに注意して

\(\displaystyle \zeta(-k)=-\dfrac{1}{k+1}+\dfrac{1}{2}+\sum_{m=1}^{k}\dfrac{B_{m+1}}{(m+1)!}\cdot (-k)_m\)

ただし\(\,k=0\,\)のときは\(\,\displaystyle \sum_{m=1}^{k}\,\)の部分は\(\,0\,\)とみなすことにしてます。

そのため\(\,k=0\,\)のとき

\(\displaystyle \zeta(0)=-1+\dfrac{1}{2}=-\dfrac{1}{2}=-\dfrac{B_1}{0+1}\)

となり,前節で紹介した式は成り立っていることが分かります。

よって\(\,k\geq 2\,\)のときを考えましょう。

\((-k)_{m} = \underbrace{(-k)(-k+1)\cdots(-k+m-1)}_{m項}=(-1)^m\dfrac{k!}{(k-m)!}\)

と,ベルヌーイ数の性質(\(\,3\,\)以上の奇数のときは\(\,0\,\))より

\((-1)^{m+1} B_{m+1}=B_{m+1}\quad(m\geq 1)\)

であることを用いると,\(\,\displaystyle\sum\,\)の部分は

と式変形できます。

さらに\(\,B_0=1,\,B_1=\dfrac{1}{2}\,\)より

\(-\dfrac{1}{k+1}+\dfrac{1}{2}=\displaystyle-\dfrac{1}{k+1}\sum_{m=0}^{1}{}_{k+1}\mathrm{C}_{m}B_{m}+1 \)

であることを用いれば,結局

\(\displaystyle \zeta(-k)=1-\dfrac{1}{k+1}\sum_{m=0}^{k+1}{}_{k+1}\mathrm{C}_{m}B_{m}\)

となります。

ここでベルヌーイ数の性質から

\(\displaystyle \sum_{m=0}^{k}{}_{k+1}\mathrm{C}_{m}B_{m}=k+1\)

であることを利用すると,\(\,k=m+1\,\)の項だけが残り

\(\displaystyle \zeta(-k)=-\dfrac{B_{k+1}}{k+1}\)

が得られました。\(\quad\square\)

まとめ

今回の記事では

リーマンゼータ関数の整数における特殊値(particular values of the Riemann zeta function at integers)

を解説いたしました。

正の偶数において円周率\(\,\pi\,\)が出現するのが,個人的に好きです。

もし「説明がわかりにくい」などご要望・ご感想がありましたら,
X(旧:Twitter)で#トイカラでつぶやいていただけると,できる限り対応します。

ここまで読んでいただき,ありがとうございました。

参考図書

  • \([1]\) 荒川恒男,伊吹山知義,金子昌信 著.“ベルヌーイ数とゼータ関数 新装版 ―整数論の風景―”.初版.共立出版.2022出版.316p.

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