【超基本_小学校レベル第8回】色々な単位量あたりの大きさ 金魚1匹あたりの水槽の容積,飲み物の容量あたりの値段,人口密度
こんにちは、黒須です。
この記事は数学超基本シリーズの小学校レベル第8回です。
高校生の皆様には当たり前の内容かもしれませんが復習という観点で読んでいただけると幸いです。
小学校 算数で習う単位量あたりの大きさから金魚1匹あたりの水槽の容積,飲み物の容量あたりの値段,面積あたりの人口に関する例題を解説します。
また,単位量あたりや人口密度についても詳しく解説していきます。
目次
「単位量」,「単位量あたり」とは
まずは単位量について理解することから始めましょう。
「単位量」とは「1つの量」のこと
単位量とは,1つの量のことです。次のような例があります。
- 1個:物の個数
- 1\(\mathrm{L}\)(リットル):液体の量
- 1m2(ヘイホーメートル):面積の広さ
「単位量あたり」とは「2つの量のうち,片方の量を基準として,もう片方の量を表す」こと
単位量あたりとは,2つの量のうち,片方の量を基準として,もう片方の量を表すことです。次のような例があります。
- 1個あたりの質量
- 1クラスあたりの生徒数
- 1km2あたりの人口
単位量あたりを使う理由
では,なぜ「単位量あたり」を使う必要があるのか。理由は同じ単位量どうしで比較しやすくなるからです。これがどういうことなのかを理解してもらうために簡単な問題で解説します。
「単位量あたり」を使わなくても簡単に比較できる問題
次の図で箱の中にボールが入っています。1箱あたりのボールの数が多いのは左と右どちらの図でしょうか。
これは左右どちらも1箱です。つまり箱という単位量が同じなので簡単に比較できますね。右が正解です。
「単位量あたり」を使わないと簡単に比較できない問題
では,次の場合はどうでしょう。
これは前問と違い左が2箱です。これでは箱という単位量が左右で違うので簡単に比較できませんね。これを簡単に比較できるようにするために,1箱あたりの単位量をそろえましょう。
方法としては,比較したい量を基準となる量,つまり揃えたい量で割ります。比較したい量はボールの数ですね。基準となる量は1箱あたりなので箱の数になります。
よって,左図は1箱あたり3個のボールと求まりました。これで簡単に比較できますね。右図の方が1箱あたりのボール数が多いので,右が正解です。
- 単位量をそろえれば簡単に比較できる
- 比較したい量を基準となる量で割る
例題
1. 次のような①,②,③,④の水槽がある。次の問に答えなさい。
(1) ①~③の水槽において,最も混んでいる水槽と空いている水槽を答えなさい。
(2) ④の水槽と①の水槽の,1匹の単位量あたりの容積が同じとき,\(\Box\)にあてはまる数字を求めなさい。
2. \(200\mathrm{\,mL}\)入りで\(95\)円のお茶と,\(250\mathrm{\,mL}\)入りで\(120\)円のジュースがあるとき,\(1\mathrm{\,mL}\)あたりではどちらの飲み物が安いか。
3. A市の人口は\(600000\)人で面積が\(480\mathrm{\,km^{2}}\)である。この市の人口密度を求めなさい。
例題1.(1)解説:金魚1匹あたりの水槽の容積
単位量あたりを使う理由について理解できたところで,例題を解説します。例題1.(1)で求めたいのは,最も混んでいる水槽と最も空いている水槽です。でも容積と匹数がそれぞれ違うので簡単に比較できませんね。
ここで使うのが先ほども説明した「単位量あたり」の大きさを比較するということです。つまり,金魚1匹あたりの容積を比較します。比較したい容積を基準となる金魚の匹数で割ると,
となります。
これで比較が簡単になりました。答えは以下です。
- ③が最も混んでいる(金魚1匹あたりの容積が小さい)
- ②が最も空いている(金魚1匹あたりの容積が大きい)
ここで,混んでいる,空いているという言葉の意味を分かりやすくするために金魚1匹あたりの水槽の容積を四角いスペースとしてイメージ図で説明します。
上の図の金魚の数は問題の①~③で与えられている匹数です。比較するべきところは,青色のスペースの大きさになります。これを見て分かる通り,②は1匹あたりのスペースが最も大きいですね。これを問題文の中では空いていると表現しているわけです。
次に③は1匹あたりのスペースが最も小さいですね。これを問題文の中では混んでいると表現しているわけです。
- 空いている:1匹あたりのスペースが大きい
- 混んでいる:1匹あたりのスペースが小さい
例題1.(2)解説:水槽の容積あたりの金魚の匹数
次に例題1.(2)は①と④が1匹あたりの容積が同じときの,④の金魚の引数を答える問題です。
前問で①の1匹あたりの容積は\(500\mathrm{\,cm^{3}}\)(リッポウセンチメートル)ということが分かっているのでこれを使います。問題文より①と④の1匹あたりの容積は同じです。よって\(4000\mathrm{\,cm^{3}}\)に\(500\mathrm{\,cm^{3}}\)がいくつ入るかということなので,これを式にすると,
ですね。よって,\(\Box\)にあてはまる答えは8です。イメージ図で表すと次のようになります。①も④も1匹あたりの容積は同じなので四角のスペースは同じ大きさです。金魚の数が6匹と8匹で違うだけですね。
例題2解説:飲み物の容量あたりの値段
次に飲み物の容量あたりの値段に関する例題です。これは簡単に比較できるようにするため,お茶とジュース,それぞれの飲み物の\(1\mathrm{\,mL}\)あたりの値段を求めて容量という単位量をそろえましょう。
比較したい値段をそろえたい容量で割れば,単位量あたりの値段になります。
\(値段 \div 容量\)
よって,お茶とジュースの\(1\mathrm{\,mL}\)あたりの値段は,
です。次に,問題文にどちらが安いかとあるので安い方を考えましょう。これは大小関係を不等号で表して比較すると分かりやすいです。
よって答えはお茶です。
例題3解説:面積あたりの人口
次に人口密度の問題です。人口密度とは単位面積1km2(平方キロメートル)あたりに居住する人の数により定義される数値のことです。分かりやすく言えば人口密度は1km2あたりの人数のことです。よって人口密度を求めるには人数を面積で割ればよいですね。
\(人口密度 = 人数 \div 面積\)
A市の人口は\(600000\)人なので面積\(480\mathrm{\,km^{2}}\)で割ると,
となります。このことから,例えば各都道府県や市町村の人口と面積が分かれば,その地域の混みぐあいや,空きぐあいを知ることができます。練習問題を解いて各都道府県の人口密度を見比べてみましょう。より理解が深まると思います。
例題の解答を見る
1
(1)
最も混んでいるのが③
最も空いているのが②
(2)
2
お茶の方が安い
3
練習問題にチャレンジ
1. 次のような①,②,③,④のボールが入った箱がある。次の問に答えなさい。
(1) ①~③の箱において,最も混んでいる箱と空いている箱を答えなさい。
(2) ④の箱と①の箱の,ボール1個の単位量あたりの容積が同じとき,\(\Box\)にあてはまる数字を求めなさい。
2. \(500\mathrm{\,mL}\)入りで\(200\)円のジュースと,\(1000\mathrm{\,mL}\)入りで\(380\)円の牛乳があるとき,\(1\mathrm{\,mL}\)あたりではどちらの飲み物が安いか。
3. 次の表は各都道府県のおおよその人口と面積を表しています。それぞれの人口密度を求めて,表を埋めなさい。
練習問題の解答を見る
1
(1)
最も混んでいるのが③
最も空いているのが②
(2)
2
牛乳の方が安い
3
各都道府県の人口密度は次の通りとなる。