【超基本_中学校レベル第6回】乗法 負の数を含む乗法
こんにちは、明智です。
この記事は数学超基本シリーズの中学校レベル第6回です。
高校生の皆様には簡単な内容ですが復習のつもりで読んでいただけると幸いです。
中学1年生の数学で習う負の数を含む乗法(掛け算)に関する例題を解説します。
負の数を含む乗法
異符号どうしの乗法
掛け算のことを乗法,その結果を積と呼びます。
負の数を含む乗法では,
\(1\).絶対値どうしの掛け算
\(2\).符号の決定
という2つのことをします。難しそうに聞こえますが恐れることはありません。ここでは,\(2\times(-3)\)を例に考えていきましょう。
\(1\).絶対値とは原点からの距離のことでしたね。\(2\)の絶対値は\(2\),\(-3\)の絶対値は\(3\)なので絶対値の積は\(6\)となります。
\(2\).異符号どうしの乗法で符号はどうなるのでしょう。原則は
- 異符号どうしの掛け算の符号は負
です。すなわち
(正の数)\( \times \)(負の数)も
(負の数)\( \times \)(正の数)も答えは(負の数)となります。
\(2 \times (-3)\)は(正の数)\( \times \)(負の数)なので,答えは(負の数)です。したがって最終的な計算結果は\(-6\)となります。
同符号どうしの乗法
同符号どうしの乗法でも
1.絶対値どうしの掛け算
2.符号の決定
を行います。
符号の決定における原則は
- 同符号どうしの掛け算の符号は正
です。すなわち
(正の数)\( \times \)(正の数)も
(負の数)\( \times \)(負の数)も答えは(正の数)です。
例えば,\((-2) \times (-3)\)の答えは\(+6\)となります。
それでは,例題で理解を深めていきましょう。
例題
1. 次の問いに答えなさい。以下では,東へ進むことを正,西に進むことを負とする。
(1) 東へ毎時\(3\,\mathrm{km}\)の速さで進み続けているとき,現在から\(2\)時間後にいる位置と現在から\(2\)時間前にいた位置を,現在地を基準に求めよ。求める式と答えをかけ。
(2) 西へ毎時\(3\,\mathrm{km}\)の速さで進み続けているとき,現在から\(3\)時間後にいる位置と現在から\(3\)時間前にいた位置を,現在地を基準に求めよ。求める式と答えをかけ。
2. 符号が同じ乗法では,積の符号はどうなるか。また符号が異なる乗法では,符号はどうなるか。
例題1解説:負の数を含む乗法
1. 次の問いに答えなさい。以下では,東へ進むことを正,西に進むことを負とする。
(1) 東へ毎時\(3\,\mathrm{km}\)の速さで進み続けているとき,現在から\(2\)時間後にいる位置と現在から\(2\)時間前にいた位置を,現在地を基準に求めよ。
(2) 西へ毎時\(3\,\mathrm{km}\)の速さで進み続けているとき,現在から\(3\)時間後にいる位置と現在から\(3\)時間前にいた位置を,現在地を基準に求めよ。
まずは(1)です。東へ毎時\(3\,\mathrm{km}\)進んでいるので\(2\)時間後にいる位置は
\(3 \times 2 = 6\)
すなわち東へ\(6\,\mathrm{km}\)の位置です。ここまでは小学校の算数で理解できますね。
このように東へ毎時\(□\,\mathrm{km}\)で進むとき,\(△\)時間後にいる位置は東へ\((□ \times △)\,\mathrm{km}\)の位置と求まります。
これは□や△に負の数が入っても成り立ちます。
したがって,現在から\(2\)時間前にいた位置は現在から\(-2\)時間後にいる位置のことなので
\((+3) \times (-2)= -6\)
東へ\(-6\,\mathrm{km}\),すなわち西へ\(6\,\mathrm{km}\)の位置と求まります。
次に(2)です。西へ毎時\(3\,\mathrm{km}\)の速さで進むことは,東へ毎時\(-3\,\mathrm{km}\)の速さで進むことと同じですね。
したがって現在から\(3\)時間後にいる位置は
\((-3) \times (+3) = -9\)
東へ\(-9\,\mathrm{km}\),すなわち西へ\(9\,\mathrm{km}\)の位置です。
また,現在から\(3\)時間前にいた位置は現在から\(-3\)時間後にいる位置のことなので
\((-3) \times (-3) = +9\)
すなわち東へ\(9\,\mathrm{km}\)の位置です。
ちなみに,(2)の状況で,西を正の向きとして考えてみると現在から\(+3\)時間後にいる位置は
\((+3) \times (+3)= +9\)
すなわち西へ\(9\,\mathrm{km}\)の位置となり,東を正の向きとして考えたときの結果と一致します。
東を正の向きとして考えたときは(負の数)\( \times \)(正の数),
西を正の向きとして考えたときは(正の数)\( \times \)(正の数)の計算をして導かれた位置が一致したことから,
異符号どうしの積の符号が負になることが確からしいと言えるでしょう。
さらに西を正の向きとして考えてみると現在から\(-3\)時間後にいる位置は
\((+3) \times (-3) = -9\)
西に\(-9\,\mathrm{km}\),すなわち東へ\(9\,\mathrm{km}\)の位置となり,東を正の向きとして考えたときの結果と一致します。
東を正の向きとして考えたときは(負の数)\( \times \)(負の数),
西を正の向きとして考えたときは(正の数)\( \times \)(負の数)の計算をして導かれた位置が一致したことと,
異符号どうしの積の符号が負になることが確からしいということ(先程確かめました)から,同符号どうしの積の符号が正になることも確からしいと言えるでしょう。
例題2解説:負の数を含む乗法(符号の決め方)
2. 符号が同じ乗法では,積の符号はどうなるか。また符号が異なる乗法では,符号はどうなるか。
ここまで何回も確認してきたように
同符号どうしの積の符号は正,異符号どうしの積の符号は負です。このことをしっかりおさえて,練習問題で慣れていきましょう。
例題の解答を見る
1
(1) \(2\)時間後にいる位置
\((+3) \times (+2) = +6\)
東へ\(6\,\mathrm{km}\)
\(2\)時間前にいた位置
\((+3) \times (-2)= -6\)
西へ\(6\,\mathrm{km}\)
(2) \(3\)時間後にいる位置
\((-3) \times (+3) = -9\)
西へ\(9\,\mathrm{km}\)
\(3\)時間後にいる位置
\((-3) \times (-3)= +9\)
東へ\(9\,\mathrm{km}\)
2
同符号どうしの積の符号は正
異符号どうしの積の符号は負
練習問題にチャレンジ
1. 次の問いに答えなさい。以下では,東へ進むことを正,西に進むことを負とする。
(1) 東へ毎時\(5\,\mathrm{km}\)の速さで進み続けているとき,現在から\(2\)時間後にいる位置と現在から\(2\)時間前にいた位置を,現在地を基準に求めよ。
(2) 西へ毎時\(6\,\mathrm{km}\)の速さで進み続けているとき,現在から\(4\)時間後にいる位置と現在から\(4\)時間前にいた位置を,現在地を基準に求めよ。
練習問題の解答を見る
1
(1) \(2\)時間後にいる位置
東へ\(10\,\mathrm{km}\)
\(2\)時間前にいた位置
西へ\(10\,\mathrm{km}\)
(2) \(4\)時間後にいる位置
西へ\(24\,\mathrm{km}\)
\(4\)時間前にいた位置
東へ\(24\,\mathrm{km}\)