【超基本_小学校レベル第9回】速さ 算数における時間の表し方・単位換算,時速・分速・秒速の変換,距離・速さ・時間の関係,平均の速さ

2023.06/20

こんにちは、黒須です。

この記事は数学超基本シリーズの小学校レベル第9回です。
高校生の皆様には当たり前の内容かもしれませんが復習という観点で読んでいただけると幸いです。

小学校 算数で習うstrong>速さから算数における時間の表し方・単位換算時速・分速・秒速の変換距離・速さ・時間の関係平均の速さに関する例題を解説します。

また,速さ道のりと距離の違いについても詳しく解説していきます。

時間の単位変換

まずは時間の単位変換を理解しましょう。

時間・分・秒の変換

時間・分・秒の変換は速さを求める問題では頻繁に使うので,しっかり理解してくださいね。

基本的なことですが,
1時間は60分
1分間は60秒
です。これは大丈夫ですね。この関係を図にすると次のようになります。

図の説明をすると,
「時間」から単位を下げて「分」に変換するときは÷60\div 60
「分」から単位を下げて「秒」に変換するときは更に÷60\div 60
「時間」から一気に「秒」へ単位を下げるときは,÷60\div 60の2回分となるので÷3600\div 3600

逆に「秒」から単位を上げるときは,÷\divではなく×\timesになるということを表しています。

「速さ」とは

次に速さについて説明します。

「速さ」とは「単位時間あたりに進む道のり」で表したもの

速さとは単位時間あたりに進む道のりで表したのもです。具体的には時速・分速・秒速などがあります。

時速:1時間あたりに進む道のりで表した速さ (例:時速60km60\mathrm{\,km}
分速:1分間あたりに進む道のりで表した速さ (例:分速50m50\mathrm{\,m}
秒速:1秒間あたりに進む道のりで表した速さ (例:秒速30cm30\mathrm{\,cm}

上記のとおり,速さは「単位時間あたり」で表されるので,時間・分・秒のいずれも「1単位」であることが重要です。

速さ・時間・道のりの関係

次に速さ・時間・道のりの関係について説明します。

速さは道のりを時間で割った式で求まる

速さを式で表すと,道のりを時間で割った式になります。速さを比較するときに揃えるべき単位量は時間なので,分母になることは当然ですね。

この式を変形すれば,時間と道のりを求めることもできますね。

「ハジキ」や「ハジミ」の紹介

先ほどの式を覚えやすく表現したものとして,「ハジミ」や「ハジキ」が有名です。習ったことのある人もいると思います。

ここで「道のり」と「距離」は意味が違うものの,式にあてはめるときは同じなので,同じ場所になります。この「ハジミ」からも先ほどと同じ3つの式を出すことができます。

しかし,このような語呂を暗記しただけでは,あくまで公式と求め方が分かるだけで,速さと時間と距離の関係を理解していないことになりかねません。また問題によっては対応できないこともあります。

そのためReQuestとしては,「速さは単位時間あたりに進む道のり」だということをしっかり理解してほしいです。それを理解できていれば3つの式を自在に出すことができるので語呂を覚える必要はありません。

「道のり」と「距離」は意味が違う

次に道のりと距離は意味が違うということについて説明します。小学校の算数では,

道のりは,道に沿って測った長さ
距離は,直線で測った長さ

と習います。下の図で説明すると道のりは,A地点からB地点まで行くために道に沿った長さです。距離は,A地点とB地点を直線で結んだ長さです。

しかし一般的には,「道のり」と「距離」は同じ意味として使うことが多いです。

例えば「学校のマラソン大会で走る距離は何km」とか言いますよね。マラソンが直線コースであることは無いと思うので,算数で習うとおりだと「学校のマラソン大会で走る道のりは何km」と言うのが正しいです。

でも先生でさえ「道のり」では無く,「距離」と言うと思います。変ですね。

つまり,算数を解くときには「道のり」と「距離」の言葉の意味を区別しつつも,実生活では同じ意味として使うことが多いということを知っていて下さい。

例題

1. 次の問いに答えなさい。

(1) 1515分は何時間か。分数と小数で表しなさい。
(2) 1212秒は何分か。分数と小数で表しなさい。

2. 次の時速(km)\mathrm{\,(km)}を分速(m)\mathrm{\,(m)}に、分速(m)\mathrm{\,(m)}を時速(km)\mathrm{\,(km)}で表しなさい。

(1) 時速60km\mathrm{60\,km}
(2) 分速2000m\mathrm{2000\,m}

3. 次の分速を秒速に,秒速を分速で表しなさい。

(1) 分速900m\mathrm{900\,m}
(2) 秒速12m\mathrm{12\,m}

4. 新幹線が100km\mathrm{100\,km}の距離を2525分で走行する時,この新幹線の時速(km)\mathrm{\,(km)}と分速(km)\mathrm{\,(km)}を求めなさい。

5. ある車が時速90km\mathrm{90\,km}で高速道路を走った時,次の問いに答えなさい。

(1) 22時間走った時の進んだ距離は何km\mathrm{\,km}か。
(2) 2525分走った時の進んだ距離は何km\mathrm{\,km}か。
(3) 113030秒で何m\mathrm{\,m}進むのか。

6.255km\mathrm{255\,km}の距離を車で移動するとき,次の問いに答えなさい。

(1) 高速道路を時速85km\mathrm{85\,km}で走行する時,何時間かかるか。
(2) 毎分1000m\mathrm{1000\,m}で走る車は,何時間かかるか。

7. 行きは時速4km\mathrm{4\,km},帰りは時速6km\mathrm{6\,km}で家とコンビニを往復するとき,平均の速さはいくらか。

例題1解説:算数における時間の表し方・単位換算

1. 次の問いに答えなさい。

(1) 1515分は何時間か。分数と小数で表しなさい。
(2) 1212秒は何分か。分数と小数で表しなさい。

まずは(1)です。この例題は11時間あたりの1515分は何時間かということを考えましょう。11時間は6060分なので,

1515分は1560\dfrac{15}{60}時間

となります。ここで大切なのは式の中では単位をそろえるということです。分母の6060と分子の1515は両方とも単位が分なのでそろっています。

1560\dfrac{15}{60}は約分すると14\dfrac{1}{4}ですね。

これが答えになりますが問題文では分数と小数で表しなさいとあるので小数でも表して,

1560\dfrac{15}{60}時間=14=\dfrac{1}{4}時間=0.25=0.25時間

よって,答えは分数表記だと14\dfrac{1}{4}時間,小数表記だと0.250.25時間となります。

次に(2)です。この例題も11分あたりの1212秒は何分かということを考えましょう。11分は6060秒なので,

1212秒は1260\dfrac{12}{60}

となります。あとは(1)と同様に解いて,

1260\dfrac{12}{60}=15=\dfrac{1}{5}=0.20=0.20

よって,答えは分数表記だと15\dfrac{1}{5}分,小数表記だと0.20.2分となります。

例題2解説:時速と分速の変換

2. 次の時速(km)\mathrm{\,(km)}を分速(m)\mathrm{\,(m)}に、分速(m)\mathrm{\,(m)}を時速(km)\mathrm{\,(km)}で表しなさい。

(1) 時速60km\mathrm{60\,km}
(2) 分速2000m\mathrm{2000\,m}

この例題は時速を分速に,分速を時速に変換するだけの問題です。変換するときは単位をそろえて計算することに気を付けましょう。

まず(1)です。時速60km\mathrm{60\,km}言葉で言い換えると,

(1) 時速60km\mathrm{60\,km}
  ⇒11時間あたり60km\mathrm{60\,km}の道のりを進む
  ⇒6060分間あたり60000m\mathrm{60000\,m}の道のりを進む

となります。これを式で表現してあげればよいだけです。まず,km\mathrm{\,km}m\mathrm{\,m}に変換するために10001000を掛けます。時間は時速から分速になるので,6060で割ります。これで問題文で求められている単位にそろえて計算できます。

よって,答えは分速10000m\mathrm{10000\,m}となります。

次に(2)は,分速を時速に変換する問題です。

(2) 分速2000m\mathrm{2000\,m}
  ⇒11分間あたり2000m\mathrm{2000\,m}の道のりを進む
  ⇒160\dfrac{1}{60}時間あたり2km\mathrm{2\,km}の道のりを進む

よって,

となるので答えは時速120km\mathrm{120\,km}です。

例題3解説:分速と秒速の変換

3. 次の分速を秒速に,秒速を分速で表しなさい。

(1) 分速900m\mathrm{900\,m}
(2) 秒速12m\mathrm{12\,m}

この例題は例題2と同様に変換して解きましょう。

(1) 分速900m\mathrm{900\,m}
  ⇒11分間あたり900m\mathrm{900\,m}の道のりを進む
  ⇒160\dfrac{1}{60}秒間あたり900m\mathrm{900\,m}の道のりを進む

ということですね。これを式で表現するだけですが,例題2のときはkm\mathrm{\,km}m\mathrm{\,m}に変換するために10001000を掛けていましたが,今回は分速と秒速ともにm\mathrm{\,m}で答えるので何も掛ける必要はありません。

よって,答えは秒速15m\mathrm{15\,m}となります。

次に(2)は,秒速を分速に変換する問題です。

(2) 分速12m\mathrm{12\,m}
  ⇒11秒間あたり12m\mathrm{12\,m}の道のりを進む
  ⇒160\dfrac{1}{60}時間あたり12m\mathrm{12\,m}の道のりを進む

よって,

となるので答えは分速720m\mathrm{720\,m}です。

例題4解説:速さを求める

4. 新幹線が100km\mathrm{100\,km}の距離を2525分で走行する時,この新幹線の時速(km)\mathrm{\,(km)}と分速(km)\mathrm{\,(km)}を求めなさい。

この問題は,速さの関係式を使い解くことができます。

そして問題文より,時速と分速はどちらも(km)\mathrm{\,(km)}で解答しないといけないことに気を付けましょう。分速の単位を(m)\mathrm{\,(m)}で解答してしまうと,間違いになってしまいます。

速さは,距離を時間で割れば求まりますね。時速と分速はどちらから求めても構いませんが,問題文は「2525分」で与えられているので分速から求めた方が簡単そうです。

よって,分速は距離(100km)\mathrm{(100\,km)}を時間(2525分)で割ってあげて,

となります。よって一つ目の答えは分速4km\mathrm{4\,km}です。

次に時速は,先ほど求めた分速4km\mathrm{4\,km}6060を掛けてあげて時速に変換します。

よって,二つ目の答えは時速240km\mathrm{240\,km}です。

例題5解説:距離を求める

5. ある車が時速90km\mathrm{90\,km}で高速道路を走った時,次の問いに答えなさい。

(1) 22時間走った時の進んだ距離は何km\mathrm{\,km}か。
(2) 2525分走った時の進んだ距離は何km\mathrm{\,km}か。
(3) 113030秒で何m\mathrm{\,m}進むのか。

この例題も前問と同様に速さの関係式を使い解くことができます。まずは計算しやすいように時速90km\mathrm{90\,km}を分速と秒速に変換しておきましょう。

時速90km\mathrm{90\,km}を秒速に変換すると0.025km\mathrm{0.025\,km}となりますが,問題文ではm\mathrm{\,m}で解答することが求められています。そのため×1000\times 1000をしてkm\mathrm{\,km}m\mathrm{\,m}に変換し,秒速25m\mathrm{25\,m}となります。あとは速さの関係式を使い,それぞれの距離を求めるだけです。

上の計算を簡単に説明すると,(1)は22時間進んだ距離なので,時速90km\mathrm{90\,km}22時間を掛けています。(2)は2525分進んだ距離なので,分速1.5km\mathrm{1.5\,km}2525分を掛けています。(3)は113030秒進んだ距離なので,秒速25m\mathrm{25\,m}113030秒を秒単位に変換した9090秒を掛けています。

(3)は別解として,分速のまま計算してkm\mathrm{\,km}からm\mathrm{\,m}に変換する方法もあります。

分速1.5km\mathrm{1.5\,km}113030秒を分単位に変換した1.51.5分を掛けて2.25km\mathrm{2.25\,km}になるので,km\mathrm{\,km}m\mathrm{\,m}に変換するために×1000\times 1000して2250m\mathrm{2250\,m}となります。

例題6解説:時間を求める

6.255km\mathrm{255\,km}の距離を車で移動するとき,次の問いに答えなさい。

(1) 高速道路を時速85km\mathrm{85\,km}で走行する時,何時間かかるか。
(2) 毎分1000m\mathrm{1000\,m}で走る車は,何時間かかるか。

(1)は速さの関係式を変形して時間を求める式にすれば解けます。

よって,答えは33時間です。

(2)は,まず単位変換をしましょう。問題文の「毎分1000m\mathrm{1000\,m}で走る」は言い換えると「11分間あたり1000m\mathrm{1000\,m}の距離を進む」ということです。つまり分速1000m\mathrm{1000\,m}ですね。次にm\mathrm{\,m}km\mathrm{\,km}に変換すると分速1km\mathrm{1\,km}です。これを時速に変換すると,時速60km\mathrm{60\,km}になります。

あとは(1)と同じように計算すると,

と求まります。よって答えは4.254.25時間です。ここで補足として0.250.25時間を分に変換すると,

0.25時間×60=150.25時間 \times 60=15分

となります。つまり1515分なので,合計44時間1515分ですね。

例題7解説:平均の速さ

7. 行きは時速4km\mathrm{4\,km},帰りは時速6km\mathrm{6\,km}で家とコンビニを往復するとき,平均の速さはいくらか。

この例題を安易に「平均だから(4+6)÷2(4+6)\div 2で時速5km\mathrm{5\,km}!」は間違いです。計算すれば分かりますが,速さは単純に平均できるものではないので注意して下さい。

この例題も速さの関係式を使い解くことができます。でも問題文では,「速さ」しか与えられていません。なので具体的な数値を自分で設定しましょう。

例えば,家からコンビニまで12km\mathrm{12\,km}とします。次に「行き」と「帰り」の時間を計算すると,

行きは33時間、帰りは22時間と求まります。行きと帰りの「距離」と「時間」の数値を出せたので,一つの式にして平均の速さを求めます。

距離と時間はそれぞれ行きと帰りの数値を足します。これで平均の速さを求める事ができます。

よって,答えは時速4.8km\mathrm{4.8\,km}です。

例題の解答を見る

1

(1)  1560\dfrac{15}{60}時間=14=\dfrac{1}{4}時間=0.25=0.25時間

   分数:14\dfrac{1}{4}時間,小数:0.250.25時間

(2)  1260\dfrac{12}{60}=15=\dfrac{1}{5}=0.20=0.20

   分数:15\dfrac{1}{5}分,小数:0.20.2

2

分速10000m\mathrm{10000\,m}

時速120km\mathrm{120\,km}

3

秒速15m\mathrm{15\,m}

分速720m\mathrm{720\,m}

4

5

6

7

練習問題にチャレンジ

1. 次の問いに答えなさい。

(1) 4545分は何時間か。分数と小数で表しなさい。
(2) 3030秒は何分か。分数と小数で表しなさい。

2. 次の分速(m)\mathrm{\,(m)}を時速(km)\mathrm{\,(km)}に、時速(km)\mathrm{\,(km)}を分速(m)\mathrm{\,(m)}で表しなさい。

(1) 分速3000m\mathrm{3000\,m}
(2) 時速12km\mathrm{12\,km}

3. 次の分速を秒速に,秒速を分速で表しなさい。

(1) 分速600m\mathrm{600\,m}
(2) 秒速40m\mathrm{40\,m}

4. 新幹線が150km\mathrm{150\,km}の距離を3030分で走行する時,この新幹線の時速(km)\mathrm{\,(km)}と分速(km)\mathrm{\,(km)}を求めなさい。

5. 新幹線が時速180km\mathrm{180\,km}で高速道路を走った時,次の問いに答えなさい。

(1) 22時間走った時の進んだ距離は何km\mathrm{\,km}か。
(2) 4040分走った時の進んだ距離は何km\mathrm{\,km}か。
(3) 223030秒で何m\mathrm{\,m}進むのか。

6.240km\mathrm{240\,km}の距離を車で移動するとき,次の問いに答えなさい。

(1) 高速道路を時速60km\mathrm{60\,km}で走行する時,何時間かかるか。
(2) 毎分1250m\mathrm{1250\,m}で走る車は,何時間かかるか。

7. 片道120km\mathrm{120\,km}の距離を,行きは33時間,帰りは22時間で往復したとき,平均の速さはいくらか。

練習問題の解答を見る

1

(1)  4560\dfrac{45}{60}時間=34=\dfrac{3}{4}時間=0.75=0.75時間

   分数:34\dfrac{3}{4}時間,小数:0.750.75時間

(2)  3060\dfrac{30}{60}=12=\dfrac{1}{2}=0.50=0.50

   分数:12\dfrac{1}{2}分,小数:0.50.5

2

時速180km\mathrm{180\,km}

分速200m\mathrm{200\,m}

3

秒速100m\mathrm{100\,m}

分速2400m\mathrm{2400\,m}

4

5

6

7

勉強方法を直接相談したい方におすすめ!

「受験勉強への取り組み方をもっと知りたい」

「コツコツ勉強する秘訣が知りたい」

そんなあなたには,難関大学の現役学生にいつでも質問できる大変お得な「質問サービス」をおすすめします!

人気記事ランキング

  • 【超基本_小学校レベル第9回】速さ 算数における時間の表し方・単位換算,時速・分速・秒速の変換,距離・速さ・時間の関係,平均の速さ

  • 【グラフ理論】隣接行列とは? 定義・イメージから隣接行列の固有値の重要性についても解説

  • 【超基本_小学校レベル第6回】四則演算の計算する順番 計算の工夫

  • 【受験生必見!】京大数学の整数問題に有効な「フェルマーの小定理」を紹介

  • 【東大受験生必見!】東大数学の体積問題の解き方 ~おまけ~

新着記事

  • 【解析学】リーマンゼータ関数の整数における特殊値は? 証明も含めて解説

    2025.04/03

  • 【複素解析学】cot\,\cot\,の部分分数分解! 留数定理による証明を解説

    2025.04/01

  • 【解析学】cot\,\cot\,の部分分数分解! 美しいヘルグロッツの技法による証明を解説

    2025.03/31

  • オリジナル問題集

    2025.03/21

  • 【グラフ理論】ライツアウトとは? 遊び方から全ライトがONの状態は消灯できることの証明まで解説

    2025.03/20