【受験生必見!】京大数学の整数問題に有効な「フェルマーの小定理」を紹介
こんにちは!半沢です!
みなさんは京大数学の整数問題と言えば,どの問題が思い浮かんできますか?
私は2018年度の理系の大問2の
が思い浮かんできます。
この問題は単純かつ良問であり,たびたびYoutubeで解説動画が投稿されているので,知っている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では,このような整数問題にひそむ「フェルマーの小定理」について紹介していきたいと思います。
この記事を読めば,京大整数問題を対策できるのみならず,同じような整数問題を自分で作ってみることもできます。
興味のある人はぜひ読んでいってくれると嬉しいです。
フェルマーの小定理とは?
フェルマーの小定理とは
というものです。
合同式などを使えば,
と書けます。
フェルマーの小定理として紹介されるのは上の形ですが,これと同等なものとして
というのもあります。
1個目の方は,\(n\)が素数\(p\)で割り切れない時に使えますが,2個目の方は\(n\)が任意の整数で成り立つという違いに注意です。
この定理の証明が気になる人もいると思いますが,この記事ではこの定理を使うことが目的ですので,他の方のサイトの証明を紹介するまでにとどめておきます。
この紹介したサイトには3通りの証明があり,高校数学の証明から,群論といった大学数学上での証明までのっていて大変興味深いです。
さて,フェルマーの小定理の紹介が一通り終わったところで,実際にフェルマーの小定理を使って京大数学を解いてみましょう。
京大数学を解こう!
導入でも話題に出した次の問題を解いてみましょう。
例題:2018年度理系問2
まずはフェルマーの小定理が使えそうな形を探しましょう。つまり,ある素数\(p\)について,\(n^{p},n^{p-1}\)となっているところです。
すると\(3\)は素数なので,\(n^{3}\)の部分に使えそうですね。
そこで実際に使ってみると(ここでは\(mod\;\,3\)としています)
となり,\(n^{3}-7n+9\)は\(3\)で割り切れることが分かりますね。
よって\(n^{3}-7n+9\)が素数となるためには,\(n^{3}-7n+9=3\)となる必要があることが分かりますね。
あとは方程式\(n^{3}-7n+9=3\)を解いてしまうと,
ただし,この解法には注意点があります。
注意点
先ほどの例のようにフェルマー小定理は役に立ちますが,一つ注意点があります。
それは,フェルマーの小定理は大学入試の答案に書いてよいのか怪しいという点です。
そのため例題の解答を,実際の答案で書くのは極力避けておきましょう。
しかし,だからと言ってフェルマーの小定理が役に立たないわけではありません。
フェルマーの小定理が輝くのは,解答の方針を立てるときです。
つまり初見で問題を見たときに,どの解法で解くのかを決めるときです。
例題で行った,フェルマーの小定理を使った計算を答案用紙上ではなく,計算用紙上で行います。
そうすることで\(n^{3}-7n+9\)が\(3\)の倍数になることを知れるわけですから,後は答案上でフェルマーの小定理を使わずに「\(n^{3}-7n+9\)が\(3\)の倍数になること」を示せば良いことになります。
フェルマーの小定理を使わずに示すと聞くと,難しく感じてしまうかもしれません。
しかし実際は,\(n\)を素数\(p\)で割った余りについて場合分けして,合同式で計算してしまえばOKです。
例題の場合だと\(n\equiv 0,1,2\;(mod\;\,3)\)という高々3通りに場合分けすれば良いだけです。
フェルマーの小定理によって,\(3\)の倍数となることも分かっているので,精神的にも助かります。
ここまでの話をまとめると,フェルマーの小定理は答案上では取り扱い注意ですが,解答の方針を立てるときには強力な武器になると言えるでしょう。
実践:2021年度文系問5
それでは実践として,上の京大2021年度文系問5を解いてみましょう。
下に解答例を書くので,解答が終わった方から見ていってください。
では解答例です。
まず今回の問題でフェルマーの小定理が使えそうなところは,\(5\)は素数なので,\(p^{5-1}\)の部分に使えそうですね。
ただしこの\(n^{p’-1}\)についてフェルマーの小定理を使うときは,「整数\(n\)は素数\(p’\)で割り切れない」という条件を忘れないようにしてください。※問題文の\(p\)と混乱しないように\(p’\)としています。
今回の問題では\(p\)が素数なので,「整数\(n\)は素数\(p’\)で割り切れない」という条件は「\(p\not=5\)」という条件で大丈夫ですね。
このとき\(mod\;\,5\)上では
となり,\(p^{4}+14\)は\(p\not=5\)のとき\(5\)で割り切れることが分かりましたね。
\(p^{4}+14\)は\(p^{4}\)の部分が正のため,明らかに\(5\)より大きいので,\(p\not=5\)のときは既に証明できたことになります。
よってあとは\(p=5\)のとき,素数でないことを言えば良いだけですね。
これは実際に\(p=5\)を代入すると
となり,素数でないことが分かります。
ここまででこの問題の完璧な解答の方針が立ったので,これにて終了と言えます。
その他の例
ここで紹介した問題以外にも,フェルマーの小定理を使うと簡単に解答の方針が立つような問題はあります。
京大の問題では2006年度理系問4,他の大学の問題では阪大2013年度理系問3などがあげられます。
フェルマーの小定理を使って,問題を解くのに慣れたい人はこれらの問題を解いてみるといいでしょう。
作問しよう!
フェルマーの小定理を使って,入試問題が解けることが分かってしまうと,今度は解法を逆にたどることで問題が作れてしまいます。
例題と同じような問題を作問しようと思えば,
というような,いかにも京大らしい問題が作れてしまいます。
ちなみに答えはそれぞれ,類題1は\(n=-1\),類題2は\(n=1\)となります。
自分で作問すると,その定理が身に付くだけでなく,数学の面白さも感じ取れるので,自分でどしどし類題を作って行きましょう。
まとめ
フェルマーの小定理が使える問題は2018,2021年度と近年(現在2023年)出題されている傾向にあるので,この裏技が役に立つ可能性は非常に高いと思います。
この記事を読んで,面白いと思えてもらえたのなら幸いです。
ここまで読んでいただき,ありがとうございました。